I 私はもともと音楽家でなく、商売人の家庭で、親がお肉屋さんの商いをしている姿を見て育ちながらも、幼稚園時代から「幼稚園の先生になりたい!」と夢見ていました。音大時代にはリトミックという言葉が流行っていたので、幼児教育としてリトミックを学ぶ専門学校にも通ったのですが、ピアノは使うけれども、決まりきったプランをやるという感じで、あまりピンと来ませんでした。
Y それでニューヨークに留学されたんですね。
I 音大を卒業してから、ちょっと本場のリトミックを見学してこようと いう気持ちだったんですが、 ダルクローズの愛弟子のシュースター先生との出逢いで、(リトミックの魅力に)引き込まれてしまって、画一的なプランでなく、子供の状況に応じてプログラムを変えてゆくんです。リトミックを学べば学ぶほど「子供に教えるというのは、深いことがわかっていないとできない」と感じ、4年もニューヨークで勉強してしまいました。
Y 深いことというと?
I 音楽はメロディ、ハーモニー、そして リズムから構成されるんです。そのリズムのなかにはビート、つまり拍(はく)があるんです。歩きながらも、アクセント フレーズ、そしてビートをより楽しく感じることを教えられれば、音楽の素晴らしさ、そして、音楽教育を通じて、人の心に良い教育、というものが形成されるんだな〜と、いうことです。
殺伐とした時代にこそ人生を彩る心の潤いが大切♪
Y 確かにそうですね。 今は残念ながら不況で社会に余裕がなくなり、統計的には音大や美大で学ぶという方が減っています。 そういう状況は残念です。確かに音楽の専門家になるには、好きなことをやりつづけたいという強い意志とエネルギーがないとうまく行かないし、費用もかかると思います。ですが、専門家にならなくても生活のなかに音楽や美術があるということは、生活のなかの潤いにつながります。
英数国理社をひたすら勉強していても、時として人間として理不尽な事態に見舞われ救われないこともあります。ですが、そんなときに自分を支えてくれるものは、意外に趣味であったり、音楽や美術であったりするものです。 安田氏が考える「あなたの子供を信じる」教育とは?
I 安田さんが考える子育てとは?
Y 受験期の保護者たちに私が良くお話するのは、おけいこを辞めさせたり 修学旅行にも行かせないで、ひたすら受験勉強だけさせるというのは私から言わせると賢明な親とは言えないということなんです。
受験の結果がどうであろうと、親が子供が進んだ学校を「いい学校なんだ!」と信じないと、子供は自信を持てなくなり、傷ついてしまうんです。子育てというのは、親が子供の前に道を用意することではなく、「子供自身がころびながら進むのを見守る」ことなんですよ。私だって 大学も会社も第一志望ではありませんでした。でも大切なのは「そこからの人生をどう生きていくか?」ということだと思います。
今日、井上先生のリトミックレッスンをみていて本当に感じたことは、親のあるべき姿勢です。おかあさんと子供が他のおかあさんや子供たちと手をつないだり、リトミックレッスンを通じてスキンシップをしているでしょ。スキンシップを続けながらも、少しずつ子供の成長に応じて、子供を離してゆくという姿勢がとても大切だと思います。 I安田さん、今日はありがとうございました。
安田さんをお迎えして 井上幸子のモノローグ♪
私が開発した知育教材に関しても、安田さんはきめ細かくご覧くださり推奨いただけたので・・・とっても光栄です。弊社のリトミック教材や知育教材は、いろいろな音楽教室・幼稚園・幼児教室で使っていただいていますが、私は安田さんのように子供たちの個性を信じてひとりひとりが自然に巣立ってゆけるお手伝いをしてゆきたいです。